図柄表：アルテミス女神 図柄裏：ヘラクレスの棍棒、雷霆ケラウノス、樫の葉 発行地：古代ローマ共和国保護領マケドニア王国アンフィポリス造幣所 発行年：前158〜149年 銘文表：- 銘文裏：MAKEΔONΩN ΠPΩTHΣ 額　面：テトラドラクマ 材　質：銀 直　径：32.0 mm 重　量：16.69 g 分　類：Sear 1386 var アンティゴノス朝マケドニアは、ペルセウスの治世にローマから遠征してきた将軍ルキウス・アエミリウス・パウルス・マケドニクスに滅ぼされた。 その後、マケドニアからは王政が撤廃され、4つに分割された共和国となった。反乱等の武力を分散させる目的で4つの共和国に区分されていた。狡猾なローマの巧みな政治手腕である。 マケドニアの第一共和国がアンフィポリスであり、それゆえ、本貨の「MAKEΔONΩN ΠPΩTHΣ（第一マケドニアの）」という古代ギリシア文字が刻印されている。アンフィポリスは地形に恵まれており、早くから要塞都市として発展した。 図像に注目すると、狩猟の女神アルテミスが描かれている。女神の背中に背負う弓と矢筒、動きやすく束ねた髪型からアルテミスと判断できる。彼女の周囲にはヴェルギナの星を表した円盾が刻まれている。ヴェルギナの星はマケドニアを象徴する代表的なモティーフで、数々の場面に登場する。 アルテミスは、人々にとって極めて重要な存在だった。彼女は狩人の守護神であった他、月の満ち欠けも司っていた。また、女性の出産を手助けする役割も担った。市民は崇拝する神の肖像を刻んだコインを持ち歩くことで、その加護を期待していたのかもしれない。